年に一度の年賀状。絵柄だけでなく手書きでひと言添えると、気持ちをより伝えることができます。しかし、せっかく心を込めて書いたひと言が、かえって失礼になってしまわないか不安になってしまう方もいるでしょう。今回はそんな不安を解消するべく、送る相手別に適した文例をご紹介します。

【送る相手別】年賀状で使えるとっても便利な文例60パターン!

1.上司など会社の人へ送る年賀状で使える文例

特に気を使うのが、会社の上司に宛てた年賀状ではないでしょうか。失礼のないよう、マナーに気を付けて好印象を持ってもらいましょう。

年賀状では、冒頭に「賀詞(がし)」と呼ばれるお祝いの言葉を書きます。年賀状の場合の賀詞には新年を祝う挨拶文を選びますが、よく見かける二文字の「賀正」「初春」「迎春」や、一文字の「賀」「福」「寿」などは、ただお祝いの言葉を述べているだけなので、目上の人に送る年賀状では失礼にあたります。

上司への年賀状には、相手への敬意を表す「謹賀新年」「恭賀新年」など四文字の賀詞や、「明けましておめでとうございます」「謹んで新年のお慶びを申し上げます」「謹んで新春の寿ぎを申し上げます」などの挨拶文を使いましょう。

上司の入院や被災により、おめでたい言葉が使えない場合には、「謹んで年始のご挨拶を申し上げます」と、お祝いの言葉を使わずに挨拶することもできます。「年始」の部分を「年頭」や「初春」に替えても構いません。

上司への年賀状の場合、賀詞の後には、

  • ・「昨年は公私にわたりご指導ご鞭撻をいただき ありがとうございました」
  • ・「昨年の経験を活かし 今年はご期待に添えるよう精進いたします」
  • ・「今年も変わらぬご指導をお願いいたします」

など、会社でお世話になったお礼や新年の目標、決意などを書くと良いでしょう。

なお、「、」や「。」の句読点は文字を上手に読めない人のために使われたという由来があります。そのため、年賀状のような相手に敬意を払う文章では使用せず、代わりに改行や間を空けるなどして読みやすいよう工夫しましょう。また、プライベートで付き合いのない関係の上司には、家族写真入りの年賀状やプライベートの話題は控えるのが無難です。

上司ではなく、共に切磋琢磨する同僚に送る年賀状の場合は、

  • ・「いつも助けてくれてありがとう」
  • ・「今年も一緒に頑張ろう」
  • ・「○○さんのおかげで一年間乗り切ることができました」
  • ・「また飲みに行きましょう」

など、日頃の感謝や励ましの言葉を添えたり、食事にお誘いしたりするのも良いでしょう。

部下や後輩への年賀状には、気持ちよく新年を迎えられるよう、

  • ・「昨年も一年ご苦労様でした」
  • ・「昨年はとても活躍しましたね」
  • ・「今年も益々の活躍を期待しています」
  • ・「本年も大きく飛躍してください」

など、感謝や労い、励ましの言葉を添えましょう。

2.ビジネス用の年賀状で使える文例

取引先の人に年賀状を出す場合は、相手の立場に関係なく基本的な挨拶文の構成にしましょう。まずは、前述した上司宛ての年賀状のように、失礼のないよう「謹んで新年のお慶びを申し上げます」「恭賀新年」など、新年の挨拶から書き始めます。

次に、昨年お世話になったことに対するお礼を伝えます。どんな相手にも使えるのは次の表現です。

  • ・「昨年は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます」
  • ・「旧年中は格別なお引き立てにあずかり厚く御礼申し上げます」

または、次のようなより具体的な表現で取引先への日頃の感謝を伝えても良いでしょう。

  • ・「昨年は当店の商品をご購入いただき誠にありがとうございました」
  • ・「旧年中は誠実なご対応をありがとうございました」
  • ・「昨年は○○の件につきご助力を賜りましてありがとうございました」

なお、営業開始日や営業時間変更のお知らせがある場合には、次のような表現で、お礼の後に続けて書いても問題ありません。

  • ・「新年は○日○時より営業を開始いたします」
  • ・「本年より営業時間が○時~○時に変更になります」
  • ・「近くにお越しの際はお気軽にお立ち寄りください」

そして、お礼の言葉の後に続けて、

  • ・「御社の益々のご発展を祈念いたします」
  • ・「本年もより一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」
  • ・「本年も変わらぬご愛顧のほどひとえにお願い申し上げます」

など、新年のお付き合いとともに、取引先の繁栄や相手の健康を願う言葉をつなげ、最後に年号を書いてまとめます。

年号は、「平成○○年 元旦」「平成○○年 一月一日」「西暦○○年 元旦」などさまざまな書き方がありますが、「元旦」だけで「一月一日」の意味があるので、「一月元旦」「一月一日元旦」など意味が重複しないよう気を付けましょう。また、投函が遅くなり、明らかに元旦に届かないと分かっている場合は、「元旦」ではなく「正月」「一月」と書きます。ただし、できるだけ元旦に届くようにしたほうが好印象を与えられます。

ビジネスでの年賀状は、宛名書きのマナーも重要です。相手の社名や肩書きに間違いのないよう、しっかりと確認して書きましょう。年賀状を会社に宛てて出す場合には、通常のビジネスの手紙と同様に、「○○会社御中」といったように、社名の下に「御中」を付けましょう。なお、社内の特定の部署に宛てた場合は一行目に社名を、改行して二行目に「○○部○○課御中」や「○○部 御一同様」と書きます。

【送る相手別】年賀状で使えるとっても便利な文例60パターン!

※社内の特定の部署に宛てた場合

肩書きのある相手へ出す年賀状の場合には、同じく一行目に社名を、改行して二行目に「部長○○様」や「代表取締役○○様」と、宛名の上に肩書きを書きましょう。その際に、「○○社長様」「○○部長様」といったように、宛名の下に肩書きをつけないように気を付けましょう。

【送る相手別】年賀状で使えるとっても便利な文例60パターン!

※肩書きのある相手へ出す年賀状の場合

肩書きのない担当者へ年賀状を送る場合には、一行目に社名を、改行して二行目に「○○部○○課」と部署名や課名を、そして再度改行して三行目に「○○様」と宛名を書きましょう。その際、改行する度に左下がりになるよう少しずつずらして書くと、バランスがとれてきれいに仕上がります。だんだんと字が小さくならないよう、全体を見ながら丁寧に書きましょう。

【送る相手別】年賀状で使えるとっても便利な文例60パターン!

※肩書きのない担当者へ年賀状を送る場合

自分より目下の相手には敬称に「殿」を使っても間違いではありませんが、近年はあまり使われない傾向にあるので避けたほうが無難です。目下の相手にも「様」を付けるようにしましょう。

3.親戚へ送る年賀状で使える文例

年賀状だけでのお付き合いが続いている親戚には、年賀状を出すべきなのか悩まれる方もいらっしゃいます。しかし、もしかすると相手の人は毎年年賀状が届くのを楽しみにしているかもしれません。年に一度の機会だからこそ、迷わず新年のご挨拶をしましょう。

【送る相手別】年賀状で使えるとっても便利な文例60パターン!

会う機会の少ない親戚には何を書くべきか悩んでしまいがちですが、難しく考えることはありません。「新年おめでとうございます」とお祝いの言葉を述べた後に、

  • ・「○○さんはお変わりありませんか。またお会いできる日を楽しみにしています」
  • ・「寒い日が続きますがご自愛くださいね」

など、相手の健康を気遣う気持ちを伝えてみましょう。

そのほか、次のように近況を知らせるのも良いです。

  • ・「私は春から社会人になります」
  • ・「息子は○歳になりました」
  • ・「新しく習い事を始めました」

付き合いの多い親戚の場合には、

  • ・「身体の調子はいかがですか」
  • ・「昨年は大変お世話になりありがとうございました」
  • ・「いつも美味しいお土産をご馳走さま」

など健康を気遣う言葉や、日頃の感謝の言葉を添えましょう。

年配の親戚には、

  • ・「今年もお年を感じさせない若さでお元気にお過ごしくださいね」
  • ・「いつまでもお若い○○さんが目標です」

など、若々しさを伝えるひと言も喜ばれます。

4.結婚や出産の報告を兼ねた年賀状で使える文例

新年の挨拶に合わせて、結婚や出産の報告をする方も少なくありません。

結婚式に出席してくれた人には、

  • ・「昨年はご多忙の中私どもの結婚式にご出席いただきありがとうございました」
  • ・「結婚式では素晴らしいスピーチをありがとう」

など、感謝の気持ちを伝えましょう。

また、次のように新婚生活の様子を知らせても良いです。

  • ・「新婚旅行も無事に終え、二人で元気に過ごしています」
  • ・「二人で迎える初めてのお正月を楽しく過ごしています」
  • ・「新居は自然が多い場所なので二人でよく散歩しています」

もし、年賀状で初めて結婚を報告する場合には、

  • ・「昨年○月に結婚しました」
  • ・「結婚して○○へ新居を構えました。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください」

など、結婚式の時期や新居も合わせて知らせましょう。

一方、結婚した人へ年賀状を送る場合は、

  • ・「ご結婚おめでとうございます」
  • ・「新年が希望に満ちた明るい年になりますように」
  • ・「あたたかい家庭を築いてくださいね」

など、お祝いの気持ちを伝えましょう。

出産の報告をする場合には、

  • ・「昨年○月に長男が生まれました」
  • ・「昨年春に新しい家族が誕生しました」
  • ・「名前は○○です」
  • ・「初めての育児に日々奮闘中です」
  • ・「家族○人で賑やかなお正月を迎えました」
  • ・「娘はハイハイを始めました」

など、赤ちゃんの誕生を知らせるほか、近況を添えるのも良いです。

相手が出産した場合には、

  • ・「ご出産おめでとうございます。健やかな成長をお祈りしています」
  • ・「○○ちゃんにお目にかかれる日を楽しみにしています」
  • ・「これから大変になるけれど、楽しみながら頑張ってくださいね」

など、赤ちゃんの成長を願う気持ちや、お母さんを気遣うひと言も良いでしょう。

そのほか、写真付きの出産報告に返信する場合は、

  • ・「目元がお母さんに似ているね」
  • ・「お父さんに似て格好良くなるね」

といったひと言を添えると喜ばれます。

5.ご無沙汰している友人へ送る年賀状で使える文例

しばらく連絡を取っていない友人には、再会したい気持ちや、お互いの近況を年賀状の話題にしましょう。

  • ・「昨年は会えなくて残念でした。今年は会えたらいいね」
  • ・「ぜひ食事でも行きましょう」
  • ・「しばらく会っていないけれど元気にしていますか?」
  • ・「私は最近ジムに通い始めました」

などと添えると、気持ちが伝わります。

一方、日頃から交流のある友人には、

  • ・「去年は一緒に旅行をして楽しかったね」
  • ・「今年もピアノの発表会に向けて頑張ろうね」
  • ・「またぜひ家に遊びに来てくださいね」

など、共通の思い出を添えても良いですね。

友人宛てには、子どもの写真入りの年賀状を使う方も多いですが、中には「子どもの写真だけを送られても困る」など、子どもの写真がメインの年賀状に対して不快感を覚える人もいるようです。親戚や親しい間柄の相手なら問題ありませんが、相手によっては配慮が必要な場合もあるということを想定しておきましょう。相手によって年賀状を使い分けるのが難しい場合には、差出人本人も写った家族写真を使ったり、イラストやデザインと上手く合わせて写真だけが目立ちすぎないようにしたりするのがオススメです。

まとめ

新年の挨拶というと身構えてしまいますが、お世話になった感謝や新年を迎えた喜びを伝えるという目的は、相手が誰であっても同じです。些細なひと言でも、手書きの文字は温かみがあるものです。送る人の顔を思い浮かべながら、ひと言添えてみてください。