年賀状には消印がない!?年賀状に関する豆知識やトリビアを紹介

お正月になると親戚や友人から送られてくる年賀状を毎年楽しみにしている、という方は多いのではないでしょうか? そんな多くの方に馴染み深い年賀状ですが、実は通常のはがきと違い、消印がないということはご存知でしょうか?

本記事では、通常の郵便物にはある消印が年賀状にない理由を詳しくご説明します。 さらに年賀状に関する豆知識やトリビアも併せてご紹介するので、年賀状の消印について知りたい方だけでなく、雑学に興味のある方も是非チェックしてみてください。

年賀状に消印がない理由

通常、はがきなどの郵便物には消印が押されています。 しかし大半の年賀状には消印が押されておらず、差出人が出したままの姿で相手に届けられているのです。 ここでは、そもそも消印とは何か、年賀状に消印がない理由についてご説明します。

そもそも消印って何?

消印とは、その郵便物に使用された切手や、はがきが使用済みということを証明するためのサイン(ハンコ)のことです。 切手付近に押されており、ほとんどの場合切手やはがきの不正な再利用を防ぐために切手にかぶせる形で押されています。

また消印には、郵便局がその郵便物を受け付けた証明としての役割もあります。 受付手続きが完了した年月日や時間帯、手続きをおこなった郵便局名が印されているので、もし配達に不備があった際、ミスがあった場所を特定しやすくなるのです。

尚、受付手続きが完了するタイミングは、ポストに投函した場合と郵便局に直接届けた場合とで異なります。 当日消印が必要なときは、郵便局に直接持ち込んで「当日消印でお願いします」と言って窓口で渡しましょう。 当日消印で、と言わなかった場合、時間によっては、翌日の消印を押されてしまうこともあるので注意が必要です。

年賀状に消印がない理由

切手やはがきの不正利用を防ぐなどの重要な役目がある消印ですが、大半の年賀状には押されていません。 その理由は、郵便局側の業務量を減らして作業効率をよくするためです。

新年の伝統行事とも言える年賀状のやり取りですが、毎年大量の年賀状が発行されており、2019年度は実に25億5929万5500枚もの年賀状が発行されています。 例年、年間の郵便物の約10%~15%が年賀状に占める割合となっていますので、年賀状の配送をする12月末〜1月初旬は郵便局が1年で最も忙しい時期だということにもなります。 約25億枚の年賀状に消印を押していると、元旦に配送をするのが間に合わなくなってしまう可能性も出てきてしまいます。 そのため消印をなくすなど、極力業務量を少なくして配送作業に注力できるようにしているのです。

尚、消印が押されないのは年賀はがきのみです。 通常切手を貼る場所の下に朱で「年賀」と書かれており、切手を貼る必要もありません。

消印がなくても悪用されない理由

上述したように、消印には切手やはがきの不正な再利用を防ぐ役割があります。 年賀状には消印が押されないということで、悪用されるのでは…と考える方もいるのではないでしょうか?

実は通常のはがきや郵便物には、目に見える消印と共に特殊な塗料で目に見えない消印が押されています。 そのため、目に見える消印は押されておらず、一見何も押されていないように見える年賀状であっても、しっかりバーコードが押されているのです。 このバーコードはブラックライトを当てれば印字が浮かび上がる仕掛けで、機械で読み取ることも可能となっています。 郵便局でははがきの仕分けに機械を導入しているので、不正利用は不可能と言って良いでしょう。

年賀状に消印が押される期間

年賀状に消印が押される期間

1月1日に届けるためには、12月15日から12月28日の年賀状受付期間に投函する必要があります。 この受付期間に出せば、年賀状に消印を押されることはありません。
消印が押されない理由は、前項でも説明した通り大量の年賀状を扱うので業務効率化の一環で消印がおされません。

しかし、一般的に“松の内”と言われている1月1日から1月7日までの年賀の期間を過ぎると、朱で「年賀」と書かれた年賀はがきであっても消印が押されることになります。 1月8日からは年賀はがきであっても通常郵便と同じ扱いになるので、消印を押されてしまいます。
また、年賀状の受付は12月15日から始まりますが、それ以前に送った場合も通常郵便扱いになってしまうので、投函する時期には気をつけましょう。

通常のはがきを年賀状として出す方法

既に「年賀」と印刷されている年賀はがきではなく、通常のはがきを年賀状として使用したいというときもあるでしょう。 その場合は、下記の2点に注意する必要があります。

切手を貼る

切手が印刷されている官製はがきを使用する場合は、料金が不足している場合は、不足料金分の切手をを貼りましょう。 切手が印刷されていない私製はがきを使用する場合は、年賀はがきの料金分(2019年分の場合62円*)切手を貼りましょう。 尚、毎年発行される年賀切手を使用するとお正月感を演出できるのでおすすめです。

*2020年分の最新情報は郵便局ホームページ等でご確認ください。

「年賀」と書く

年賀はがきには印字されている「年賀」は、年賀特別郵便として扱ってもらうために大事な文字になります。 通常のはがきの場合、自分で書く必要があります。切手の貼ってある場所の下に、赤字で目立つように書きましょう。 消印の押される場所を空けておくのがポイントです。 尚、年賀切手を使用しても年賀状扱いにはならないので、必ず「年賀」と書きましょう。

年賀状の消印に関する豆知識・トリビア

ここまで年賀状の消印について解説してきましたが、ちょっとした豆知識やトリビアもあります。 知っておくと年賀状をより楽しめるので、チェックしてみてください。

年賀状のイラストを注目して見てみよう

切手を貼る場所に描かれている年賀状のイラストが、毎年変わっているということをご存知でしょうか? 切手デザイナーが制作しており、富士山やその年の干支がデザインされています。
また、年賀状には消印がないと説明してきましたが、実は切手の下に印刷されているイラストが消印の役割も担っているのです。

デザインに注目してみると面白い年賀状ですが、実際に2019年の年賀状の切手部分に描かれたイラストは門松でしたが、よく見ると扇部分に干支であるイノシシが隠れていました。 さらに消印部分のデザインがしめ飾りになっています。

12年経ってデザインされた絵のストーリーが繋がったものもあります。 有名なところでいうと2004年と2014年の年賀状に描かれている猿が12年の歳月を経て子供が出来たデザインになっていたり、2018年の年賀状では「あけましておめでとうございます」という文字が消印の下部に小さく書かれていました。 よく見ないと分からないものばかりなので、探すのを楽しんでみてはいかがでしょうか?

その他の年賀状に関する豆知識

その他の年賀状に関する豆知識

日本独自の文化と言われている年賀状ですが、他にも豆知識があります。

他の国でも年賀状のような文化はある?

年賀状は「日本独自の文化」と言いましたが、新年をお祝いするためにカードを送る風習は日本以外でもよくあります。 アメリカやイギリスなどのキリスト教国では、クリスマスと新年を併せてお祝いするカードを送るのが一般的です。
韓国や中国にいたっては干支がデザインされているはがきカードが存在するほど日本と似ています。 特に中国は日本と似ており、お年玉付き年賀はがきや年賀切手も販売されています。

ロシアや東南アジアなどでも似た風習や文化がありますが、大きな違いは年賀状が届く日にちにあります。 元日にこだわる日本に対し、ほとんどの国では新年が始まる前にカードを送ります。 また、喪中であれば年賀状を送らない、というのも日本独特の習慣です。

新年を祝うはがきを送る文化は似ていても、他の国とは異なる習慣の年賀状は、日本独自の文化と言って良いでしょう。

年賀状はだれが始めた?

年賀状の始まりは諸説ありますが、飛駅使制度が始まった7世紀後半頃と言われています。 日本最初の年賀状がどのようなものだったのかは記録に残っていませんが、月日が経った江戸時代には年賀状は身近な存在になっていたようです。

現在では主流のお年玉付き年賀はがきの始まりは、さらに月日が経った終戦後に始まりました。 戦争で安否を確認するために「林正治」さんが発案したことが発祥と言われています。 終戦後、混乱のなかにいた人々は家族や親族、知人の消息が分からないことが多くありました。 そういった人々の消息を掴み、夢のあるくじを付けることで戦後の暗い雰囲気を払拭するという2つの目的で、自ら見本となるはがきや、宣伝ポスターを制作し郵政省に持ち込んだのです。 その後、反論意見もありましたが、見事お年玉くじは採用されたのです。

現在でも年賀状のお年玉を楽しみにしている人が多いことから、この試みは大成功だったと言えるでしょう。

年賀状には豆知識や歴史が詰まっている

年賀状の消印の変遷には郵便局員の苦労の歴史があったり、切手部分のイラストにはよく見ると干支が隠れていたりと、普段何気なく送りあっている年賀状にも、知っているとおもしろい豆知識やトリビアがたくさん詰まっています。 今年の年賀状を書く際は、今回ご紹介した歴史やトリビアを思い出しながら書いてみると、一段と愛着が湧く年賀状になるのではないでしょうか。

※この記事の内容は、2019年10月現在のものです。
※この記事でご提供する情報は、その正確性と最新性の確保に努めておりますが、完全さを保証するものではありません。当社は、当サイトの内容に関するいかなる誤り・不掲載について、一切の責任を負うものではありません。