パソコンの普及に伴い、毎年年末になると本屋やコンビニなどで年賀状の素材を集めたムック本が店頭に並びます。それらを使って綺麗にデザインされた年賀状を作る人も多いかと思いますが、大切な人に送る年賀状はまだまだ手書きで書く人も多いようです。

そこで今回は手書きで年賀状を書く人へ向けたマナー特集ということで、ボールペンで書くときの注意点やマナーを紹介します。

これってNG!?年賀状はボールペンで書いてる人に送る知っておいてほしいマナー

【1】会社の人に年賀状をボールペンで書くのは失礼?

一般的にはボールペンで年賀状を書くことは良くないこと、とされています。その理由としては、新年のお祝い事の際にはボールペンのような細い字で書くより、毛筆などのような太くて力強い字の方が受け取った側の印象が良いと言われるためです。
しかし、年賀状を毎年大量に送る人も多いなか、一枚一枚に毛筆で書くことは時間がかかってしまうでしょう。そのため、筆ペンやサインペンなど太い文字で書くことができるペンを代用して年賀状を書く人が増えています。

もちろんボールペンで書くこと自体がすべて否定されているわけではありません。全てパソコンで作っただけのものより、ボールペンでも手書きで書かれたものの方が好まれるでしょう。大切なのは相手に対する思いやりや気持ちが文字を通して伝わるかどうかという点です。そのため、字があまり上手ではなくても、気持ちを込めて丁寧に書くようにします。
ボールペンより毛筆や筆ペンを使用する方が好まれやすい、いうことに変わりはありませんが、慣れないペンを使うよりボールペンの方が気持ちを伝えやすいというのであれば、ボールペンで書いても問題はありません。

なかにはボールペンで書くことを嫌う方も多くいらっしゃいます。なので上司や恩師、年配の方などに送る際はボールペンをできるだけ避け、先ほど挙げたような毛筆や筆ペンなどといった太いペンで書くようにしましょう。友人や同僚、部下や家族、目下の人にはボールペンで書くなど使い分けることで年賀状を書く時間を最小限に抑えることができます。

【2】年賀状の宛名をボールペンで書く際のマナー

宛名を書く際も毛筆や筆ペンなどなるべく字が太くなるものを選ぶようにしましょう。万年筆で書くことも推奨されています。言うまでもありませんが、消えてしまうような消えるボールペンや、お子様が書くのと違うので鉛筆で書くのは絶対にやめましょう。

ここで宛名を書く際のルールを説明します。

これってNG!?年賀状はボールペンで書いてる人に送る知っておいてほしいマナー
  • 宛名は黒字が基本です。もしくは青ならマナー違反にはならないとされています。
  • 相手の名字などでよく使われる旧字体(正字)は正しく間違えないように書きましょう。(「澤」「邉」「齋」「髙」などの名字は特に注意)
  • 崩し字や続け字は使わずに楷書体で書くようにしましょう
  • 敬称を間違えない。特に会社に送る際に前株なのか後株なのか、株式会社なのか有限会社なのか注意しましょう(また株式会社や有限会社を「(株)」「(有)」などと略さないようにしましょう)

宛名を書く際、縦書きで手書きだと基本的に右から書く人が多いかと思います。しかし、書く手が汚れてしまったり年賀状自体が汚れてしまったりして台無しになってしまうこともあります。そういった失敗をしないために美しく宛名を書くためのコツを紹介します。

1. 葉書全体のレイアウトを考える

文字の配分や住所と宛名のバランスを考えて書くようにしましょう。特に住所や名前の文字数からどれぐらいの大きさでどれぐらいの間隔で書くか頭のなかで一度イメージをしてから書くようにしましょう。

2. 相手の名前は一番大きく書くようにする

相手の名前は一番大きく、住所は名前よりやや小さく書きます。一方で自分の住所・氏名はそれらよりも小さめに書くようにしましょう。

3. ひらがなは小さめに漢字は大きく書く

文字はひらがなも漢字も全て同じ大きさに書くより、全体的なバランスがよくなります。漢字はひらがなの1.5〜2倍の大きさで書くといいでしょう。

4. 宛先は郵便番号の右端にそろえ、一文字分下げてから書き始める

縦書きの場合、番地などの数字は漢数字で書きましょう。ビル名や階数も省略しないように書きましょう。横書きの場合は、切手の下を1cmほどあけて宛先を書き始めましょう。宛名は葉書の上下の中央を目安に書くようにしましょう。

5. 役職名の基本は名前の上に書く

役職名は4文字までは名前の上に書きますが、5文字以上あるときは名前の右に小さめに書きます。

6. 職部署名は会社名の下、もしくは行を変える

会社名や所属部署名が長く一行で収まりそうにないときは、行を変えて書きましょう。

7. トメやハライを意識する

トメやハライを意識して書くことで文字全体が綺麗に見え、引き締まって見えます。

8. 書くときは左から

自分の手にインクがつくことや、はがきを汚してしまう恐れがあります。特ににじみやすい筆ペンやサインペンなどを使うときは左から「自分の名前・自分の住所・相手の名前・相手の住所」の順に書くといいでしょう。

【3】ボールペンで書いて失敗した年賀状、消すのはマナー違反?

これはボールペンで限ったことではないですが、手書きである限り間違えてしまうこともあるかと思います。そのときは絶対に修正液や修正テープを使わないことです。もったいないと感じるかもしれませんが、そういった考えは捨て、間違えてしまったら新しい年賀状に書くことは躊躇してはいけません。
これは年賀状だけに限らず、喪中葉書や謝罪の手紙、依頼する手紙やお祝い・お悔やみの手紙も同様です。修正液や修正テープで訂正することで相手を怒らせてしまう可能性があります。相手がどんなに仲のいい間柄であっても、マナーとして覚えておきましょう。

書き損じた年賀状は郵便局で1枚5円で交換してくれます。販売期間内である11月1日から1月10日(年によっては前後します)であれば年賀状への交換も行ってくれますので、年賀状に交換したい人は期間内におこないましょう。
もちろん年賀状だけでなく、通常切手や郵便はがき、郵便書留や特定封筒などにも交換が可能です。こちらは時期を問わずいつでも交換することができます。
予備知識として、書き損じた年賀状も当選していた場合、景品をもらってから交換することが可能だそうです。年賀状に交換しない人はお年玉付き年賀はがきの当選結果が出るまで持っておくといいでしょう。

手書きで書く際に一番心がけてほしいこととして、丁寧に気持ちを込めて書くことです。ただし、気持ちが入りすぎてしまうとつい力が入ってしまいます。ボールペンを使うときは筆圧の出にくいジェルインクのボールペンを使うなどして工夫を行いましょう。

【4】年賀状で書きやすいペンはどれ?ボールペン?サインペン?

年賀状はなるべく手書きで書きたい、けれども慣れないペンを使うためなるべく書きやすいペンで書きたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで年賀状を書くのに適しているペンの特徴と選ぶコツを最後に紹介します。

これってNG!?年賀状はボールペンで書いてる人に送る知っておいてほしいマナー

毛筆

年賀状を書くのに一番適しているといわれるのは毛筆です。普段毛筆で書くことに慣れてない人で、どうしても毛筆で書きたいという方は細字用の毛筆を選ぶといいでしょう。日本人なら毛筆でいつかは書けるようになりたいですよね。年賀状を書きながら身につけていってはどうでしょうか。

筆ペン

毛筆で書いたような太くて味のある文字を書くことができます。トメやハライなど強弱もつけやすく、日本人が見て美しいと思える文字を書くことができます。こちらも初心者の方は、毛筆同様に細いペンを選ぶといいでしょう。

油性ペン

タイプによっては一本で二種類の細さを選ぶことができます。宛名や宛先を書く際は太めの方を使い、自分の住所や名前を書く際は細い方を使うなど、初心者でも容易に文字の大きさや太さを分けて書くことができます。油性のため水に濡れてもにじみにくく、すぐに乾くことも特徴のため汚れる心配が少なく老若男女に好まれています。

サインペン

油性ペンに近いのがこのサインペンです。芯先がしっかりしているため、油性ペンと違ってたくさん書いても太くなりにくいため、年賀状で書く際に昔から多くの人に利用されています。

万年筆

ボールペンのように細い万年筆ですが、いろいろな太さを変えることができます。宛名書きに最適なのは「ブロード」とよばれるタイプがおすすめです。年配者や会社の偉い方のなかには万年筆で書く人も少なくありません。万年筆は筆跡に味わい深さが出るため人気も高く、筆圧をかける必要がないため疲れにくいのが特徴です。

ボールペン

日常生活の中で一番使われているのがボールペンです。普段から使っていることが多いため、一番書きやすく年賀状を書くといった普段慣れないことも、安心感を持って書き進めることができるのではないでしょうか。ボールペンの太さやインクの種類もさまざまですので、自分に合ったものを探しやすいといったメリットもあります。

年賀状で書くのによく使われるペンを紹介しました。これらの特徴を把握したうえで、自分が送った年賀状を相手がどんな気持ちで受け取ってほしいのか、自分が一番気持ちを伝えやすいペンはどれなのかを考えて選ぶといいでしょう。

覚えてほしい点として選んではいけない2つのペンがあります。1つは消せるボールペン(フリクションペン)です。消せるボールペンは60度以上になるとインクが消える仕様になっています。こういったペンで書かれたものは消えないまでも見えにくくなったり、宛先や名前が分からなくなってしまったりすることも多々あるようです。確実に相手先に届けるためにも消せるボールペンは使わないようにしましょう。

もう一つは水性ペンです。水性ペンの場合、雨などで濡れて字がにじみ読めなくなってしまうことがあります。たとえポストに投函した日が晴れていても配達日が雨だったり、配達する係の人が濡れた手で触ってしまったりするとにじんで読めなくなってしまいます。そういった事故を未然に防ぐためにも水性ペンは使わないようにしましょう。

まとめ

年賀状をボールペンで書くことはマナー違反にはなりませんが、上司や目上の方へ送る際はなるべく筆ペンなどを使って書けるようにしたいですね。今年は毛筆や筆ペンで書く勇気がなくてボールペンで書いた人も、次回は是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

年賀状だけでなく、ビジネスや引っ越しなどで挨拶状を書くことは今後あるかと思います。そういった際に使い慣れたボールペンではなく、毛筆や筆ペンを使って書けるようになっておくと気持ちも伝わりやすく、受け取った側の印象も大きく変わるのではないでしょうか。