お世話になった方への新年の挨拶に、毎年欠かさず年賀状を送っている方も多いでしょう。
年賀状には正しい書き方があり、よく使われる文面が実は間違った表現だったというケースも少なくありません。
本記事では、年賀状の正しい書き方と、避けるべき表現や書き方、年賀状に関するマナーについて解説します。
年賀状の書き方の基本
まずは、年賀状の表面と裏面に書く、基本的な構成要素を確認しましょう。
表(宛名)面の構成要素
はがきの表面には、郵便番号、宛先と差出人の住所・氏名を記入します。
はがきの右側から中央に宛先の住所、氏名を書き、差出人の住所・氏名は左下の郵便番号枠に収まるように書きます。
ただし、差出人の住所や氏名に限っては、はがきの裏面に書いても構いません。
私製はがきや年賀はがき以外を使う場合、切手の下に「年賀」と朱色で朱書きします。
はがきに貼る切手は、なるべく年賀用にするのが望ましいでしょう。
裏(通信)面の構成要素
年賀状の裏面の文章は、以下の5つの要素で構成することが基本です。
書き漏れのないよう、それぞれの項目における書き方をチェックしましょう。
賀詞
賀詞とは、新年を祝う言葉のことです。
代表的な言葉は、「あけましておめでとうございます」、「賀正」、「謹賀新年」などが挙げられます。
お礼や感謝などを述べた文
日頃の感謝やお世話になったことなど、具体的な内容の文章を記入します。
たとえば、「旧年中は大変お世話になりました」、「旧年中は何かとお世話になり大変有り難うございました」といった文章がよく使われています。
今後の良い関係を願う文
この項目では、相手との良好な関係を願う言葉を書きます。
たとえば、「本年も変わらぬお付き合いのほど宜しくお願い致します」、「本年もご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます」などが代表的です。
相手の幸せを願う文
相手の幸せや繁栄、健康などを願う旨の文章を書きます。
たとえば、「皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」、「皆様のご多幸と繁栄をお祈り申し上げます」などが一般的です。
日付
文章の結びに、「令和〇年元旦」または「20〇〇年1月1日」と記入します。
裏面に差出人の住所と氏名を入れる場合は、郵便番号も忘れずに記入しましょう。
メッセージ
基本的な文章構成を印刷する場合、相手へのメッセージを手書きで付け加えるといいでしょう。
友人や知人なら、出産や転職などの近況報告や、趣味や仕事などの共通の話題がおすすめです。
お世話になった上司や恩師に年賀状を送る場合、新年の抱負や今後の目標を書くと良いです。
定番の賀詞や人気の賀詞をご紹介
新年を祝う賀詞はさまざまな種類があり、どれを使えばいいか迷う方も多いでしょう。
そこで、定番の賀詞や人気の賀詞の紹介と、賀詞を使うときの注意点をご紹介します。
定番の賀詞
年賀状でよく使われる定番の賀詞は、漢字のみのもの、文章のものなどあります。
以下に定番の賀詞を紹介します。
● 寿、春、福
● 迎春、新春、賀春、慶春
● 謹賀新年、謹賀新春、恭賀新年、敬頌新禧
● 新年あけましておめでとうございます、新年のお慶びを申し上げます、謹んで新春のご祝詞を申し上げます
「賀」は相手へのお祝い、「春」は新年という意味です。
いずれの賀詞も、新年を迎えた喜びや祝いを相手に伝える言葉になります。
人気が高い賀詞
特に人気のある賀詞は、以下のものが挙げられます。
● あけましておめでとうございます
● 謹賀新年
● 賀正
● Happy New Year
● 迎春
「あけましておめでとうございます」という賀詞はやわらかい雰囲気が伝えられ、「謹賀新年」は目上の人でも使えるという点が人気の理由です。
また、「Happy New Year」は、若い方や友人宛てに使う方が多く、手書きで書きやすいという意見があります。
「賀正」は恰好が良いという理由で人気が高く、「迎春」は女性らしい、春っぽいといったやわらかいイメージが理由で人気があるようです。
賀詞を使う際の注意点
上司や恩師などの目上の人に年賀状を送る場合、賀詞の使い方には注意を払うようにしましょう。
「賀正」や「迎春」といった人気の賀詞は、4文字の賀詞を省略したものなので、目上の人に使うと失礼になります。
そのため、1文字や2文字の賀詞は避けるとともに、「恭」や「敬」など、目上の人を敬う文字が入った賀詞を使いましょう。
また、賀詞が既に書かれた年賀状にメッセージを添える場合、「あけましておめでとうございます」と書かないことが基本です。
同じ内容が重複するので、メッセージを書く際は注意しましょう。
宛名の書き方
年賀状は上司や同僚などの仕事関係、親戚、友人知人など、さまざまな人に送ります。
相手によって宛名の書き方にマナーがあるので、以下の内容をチェックして正しい書き方を実践しましょう。
宛名の書き方
宛名の住所を書くポイントは「書く位置と数字の表記」にあります。
宛先の住所を書く際は、はがきの右端と郵便番号枠から1文字分の余白を取り、郵便番号枠の下2桁の中心位置から書き始めましょう。
住所は都道府県から略さずに書き、アパートやマンション名がある場合も省略せずにすべて書きます。
アパート名を書くときは、住所の2行目に1行目よりも小さめの文字で書くのが基本です。
1行目の書き終わりの位置を目安にして、住所よりも位置を下げて書くとバランスが良くなります。
また、住所の数字表記は、縦書きの場合は「漢数字」、横書きなら「アラビア数字」を使うと統一感が出ます。
友人や知人、親戚などの個人に宛てるときの書き方においては、会社、先生、子供、連名で書く場合、敬称や書き方が以下のように異なります。
会社宛ての場合
取引先などの会社に宛てる場合、「株式会社〇〇 御中」と記入しましょう。
また、会社組織に属する個人に宛てる場合、「部署、役職、氏名(様)」と書くのが基本です。
会社側の立場で差出人を書く際は、「会社の所在地・会社名・部署・氏名」の順に書きます。
先生宛ての場合
保育園や学校の先生に年賀状を送る場合、宛名の敬称は「様」もしくは「先生」と書きます。
また、担任以外の先生を含めたいときは、「教員御一同様」と書きましょう。
子供宛ての場合
子供個人に宛てる場合、敬称は「様」にするのが基本です。
夫婦とその子供に宛てるときは、子供の名前に「君」や「ちゃん」を使っても問題ありません。
ただし、小学校低学年までに留め、小学校高学年以上の子供は「様」を使いましょう。
目上の方の子供に使うと失礼にあたるので、まだ小さくても「様」を使うのが無難です。
連名の場合
夫婦に送る場合、夫の名前は苗字込みで書き、妻は下の名前だけを左側に揃えて書きます。
それぞれに「様」の敬称を必ず付け加えましょう。
また、家族全員に宛てる際は、「〇〇家御一同様」と書く方法もあります。
差出人住所の書き方
差出人住所は、左下の郵便番号枠の中央を目安にして、郵便番号枠からはみ出さないように収めて書くことが基本です。
差出人の氏名と住所は下を揃え、氏名は大きめの文字で、住所はやや小さめの文字で書きましょう。
差出人が夫婦の場合は、敬称なしの連名で書きます。
子供がまだ小さい場合は、名前のふりがなと年齢を付け加えるといいでしょう。
また、差出人の住所も、都道府県名とアパート名は省略せずに書くことが基本です。
氏名の書き方
宛先の氏名を書く場所は、郵便番号枠の3桁の下が位置の目安です。
宛名は住所よりも文字を大きめにして、苗字と名前の間に1文字の間隔を空けてバランス良く記入しましょう。
会社の個人に宛てる場合は、氏名がなるべく中央に来るように、社名や部署名を右側に寄せて書きます。
また、相手の役職を書く際は、名前のうえに小さめの文字で書きましょう。
年賀状で避けたい表現や書き方
年賀状には避けるべき表現やマナーがいくつかあります。
相手にとって失礼にあたるので、以下の内容は必ずチェックしておきましょう。
縁起が悪いとされる忌み言葉
去年・死・病など、不幸を連想させる言葉は使わないことが重要です。
昨年のことを「去年」と書いてしまいがちですが、「去る」という縁起の悪い言葉が含まれているので、「旧年中は~」という表現を使いましょう。
修正ペンを使用する
年賀状を書いている際に間違ってしまった場合、修正ペンや修正テープ、二重線などで修正したものを送ると失礼にあたります。
書き損じた場合は修正せず、新しいはがきに書き直してから投函しましょう。
また、書き損じたはがきは、郵便局で手数料を払うと新しいものと交換することができます。
買い替えるよりも安く済むので、郵便局で交換してもらうことをおすすめします。
句読点を使用する
文章に句読点を打つことは基本ですが、年賀状の場合はマナー違反となります。
なぜなら、句読点は「終わり」を意味するため、新年のお祝いの挨拶をする年賀状には不適切とされているからです。
上司や取引先などの目上の方に宛てる場合は、句読点を打たない正式な書き方を心がけましょう。
しかし、若い世代や友人同士で年賀状を出し合う際は、句読点を使用することが増えてきています。
親しい間柄なら、句読点にそこまでこだわらなくても問題はないでしょう。
書き方以外で気をつけたい年賀状のマナー
年賀状は書くだけでなく、出すときと受け取ったときにもマナーがあります。
今後のお付き合いに影響する可能性があるので、正しい対応を知っておきましょう。
年賀状を出していない人から年賀状が届いた場合は
年賀状を出していない人から年賀状が届いた場合、遅れたとしても必ず返信するのがマナーです。
後出しになることが気まずいと感じるかもしれませんが、何も返信しない方がかえって失礼にあたります。
遅れて年賀状を出す場合は、年賀状を頂いたお礼や、返礼が遅れたお詫びの言葉を添えます。
喪中ということを知らずに年賀状を出した場合
相手が喪中の場合に年賀状を出してしまった場合、電話や手紙などですぐにお詫びの連絡を入れます。
年明けの1月7日以降に改めて、お悔やみとお詫びの旨を書いた寒中見舞いを出すようにしましょう。
また、喪中にも関わらず年賀状を受け取った場合、喪中であったことを寒中見舞いで伝えましょう。
寒中見舞いを1月7日以降に出すのは、「松の内」が終えてからという決まりがあるからです。
松の内とは、1月7日までは門松を出しておく期間になり、7日まではお正月として見なされます。
そのため、年末や年明け後に喪中を知ったとしても、松の内が明ける前に寒中見舞いを出さないよう注意しましょう。
年賀状はいつまでに投函すれば問題ない
年賀状を元旦に届くようにするためには、12月25日頃までに投函する必要があります。
しかし、年末は忙しいこともあり、この期間に投函が間に合わなかったという場合は、松の内の1月7日までに相手に届くようであれば送っても問題ないです。
1月1日に年賀状が間に合わない場合は、年賀状には「元日」や「元旦」と記載しないようにしましょう。
その代わりに下記に挙げた言葉を使用すると失礼にあたりませんので、参考にしてください。
● 和暦○○年 正月
● 一月吉日
● 正月
● 新春吉日
● 初春
年賀状の書き方を抑えて素晴らしい1年のスタートにしましょう!
年賀状は、新年のお祝いを伝える正式な文書です。
賀詞の選び方やメッセージ、宛名の敬称など間違いのないように注意しましょう。
また、書き方だけでなく、適切なタイミングで送ることが大切です。
1年の始まりになる年賀状を正しく書くと、今後のお付き合いもより良好になります。
今までの年賀状の書き方を見直して、間違っていた書き方をしていないかチェックしましょう。
※この記事の内容は、2019年10月現在のものです。
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