日本のお正月に欠かせないものの1つに年賀状があります。
近年はスマートフォンの普及によりメールやSNSで簡単に済ませてしまうことが多いですが、日ごろの感謝を込めて送る年賀状には、メールやSNSにはない良さもあります。
しかし年賀状の正しいマナーを知っているという方は意外に少ないのではないでしょうか?
そこで本記事では、最低限守りたい年賀状のマナーをご紹介します。
さらに、送る人別にわけた定型文を注意点と併せてご紹介するので、是非参考にしてみてください。
最低限守りたい年賀状のマナー
年賀状には、最低限守っておきたいマナーがいくつか存在します。
せっかくの感謝を込めた年賀状であっても、マナーが守られていなければ送られた相手に不快な思いをさせてしまうかもしれないので注意が必要です。
ここでは、宛名面・裏面・年賀状を出す期間の3つに分けてマナーをご紹介します。
年賀状を受け取った相手が気持ちよく新年を過ごせるように、しっかりチェックしておきましょう。
宛名、住所など宛名面についてのマナー
宛名や住所などを書く宛名面で守るべきマナーは、以下の4つ。特に敬称や朱書きは間違うと大変な失礼になってしまうことなので、必ず守りましょう。
宛名の住所
郵便番号が書いてあれば都道府県を書かなくても年賀状を届けることは可能ですが、きちんと都道府県から書くのがマナー上では正解です。
住所内の数字(番地やマンションの部屋番号など)
縦書きの場合は漢数字(一、二、三…)を、横書きの場合はアラビア数字(1、2、3…)を使うようにしましょう。
敬称
相手の名前の後には“様”をつけるのが一般的ですが、送る相手によっては異なる敬称を使う必要があります。
それぞれどのような敬称を使うかは、以下を確認してください。
●個人名 :様(連名の場合はそれぞれの名前の後ろに“様”をつけましょう)
●会社や部署:御中
●恩師や医師:先生
朱書き
一般的に年賀状では年賀はがきを使用しますが、年賀はがきではない普通のはがきでも年賀状扱いにすることは可能です。
その場合、一般郵便と間違われないようにするために、切手の下に赤で「年賀」と書くようにしましょう。
もし書き忘れてしまうと普通のはがきとして年内に配送されてしまいます。
賀詞や謝辞など裏面についてのマナー
裏面は送る相手への気持ちが最も伝わる部分だけに、気を遣いたいところです。
以下の6つのマナーを押さえて、気持ちが伝わる年賀状にしましょう。
賀詞
年賀状の冒頭に大きめの文字で書きましょう。
尚、送る相手によっては失礼となる賀詞もあるので、以下をチェックしてください。
●目上の人:謹賀新年、恭賀新年などの4文字の賀詞
●目下の人:寿、迎春などの1文字ないし2文字の賀詞
●友人などの親しい間柄の人:HAPPY NEW YEARやあけましておめでとう!などのカジュアルな表現の賀詞
●全ての人に対応可能:謹んで新春のお慶びを申し上げます、などの文章の賀詞
謝辞
昨年お世話になったことに対するお礼や日頃の感謝を書きましょう。
こちらの近況報告も併せて書くとより良い内容になります。
お願い
今年も変わらぬお付き合いをお願いする言葉を書きましょう。
先生や上司に書く場合はご指導をお願いする言葉を書くと良いでしょう。
祈り
相手の健康や幸せを願う言葉を書きましょう。
繁栄や活躍を願う言葉でも構いません。
年号・日付・干支
最後に新年の年号と日付(例:2020年1月1日)を書きましょう。
その際に干支を加えて書くのもおすすめです。
忌み言葉を使用しない
年賀状は新年を祝うためのものなので、「滅びる」「失う」「倒れる」「枯れる」「衰える」というようなネガティブな言葉は使用しないようにしましょう。
特に注意しておきたいのが「去年」という書き方。「去」は「去る」を連想させるため、「昨年」か「旧年」という書き方をしましょう。
年賀状を出す期間についてのマナー
年賀状を出す期間にもマナーはあります。
決められた期間内に出さないと1月1日に届かない場合や相手に対して失礼になってしまう場合があるので、必ず以下のマナーを守るようにしましょう。
年賀状は1月7日までに届けば失礼にならない
一般的に“松の内”と言われる年賀の期間は1月7日までです。
地域によっては1月10日や15日までを松の内とする地域もあり、それまでに届けば問題ないのですが、期間を過ぎてしまうと失礼になってしまいます。
どうしても過ぎてしまう場合は年賀状ではなく、寒中見舞いとして出すようにしましょう。
元日に送るには12月25日までに出す
確実に年賀状を元旦に届けたい場合は、12月25日までに投稿するようにしましょう。
尚、元旦に配達されることが保証された年賀状の受付期間は、毎年郵便局が発表しているのでチェックしてみてください。
年賀状の定型文 -一般年賀状-
以上の守るべきマナーを踏まえると、一般的な年賀状の定型文は以下の様になります。
新年あけましておめでとうございます
昨年は大変お世話になりました
今年も宜しくお願い申し上げます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします
ここでの注意点は、句読点を使用しないということ。
句読点を入れないと読みづらくなってしまう場合は、改行をするなどして工夫しましょう。
年賀状の定型文 -友人に送る場合-
友人に送る年賀状の場合は、一般的な年賀状に加えて一言メッセージを添えるのがおすすめです。
ただし、自分の近況報告を書く場合は書きすぎないように注意しましょう。
「相手を思いやる内容8割、自身のこと2割」と考えておくと良いでしょう。
以下の定型文の例を参考にしてみてください。
あけましておめでとう!
昨年はお世話になりました
楽しいお正月を過ごしていますか?
今年こそは一緒に食事に行きましょう!
今年もよろしくお願いします
素敵な一年になりますように
年賀状の定型文 -上司や先輩(ビジネス)に送る場合-
会社の上司や先輩に送る年賀状の場合、最初に確認しておきたいのが、社内での年賀状のやり取りが認められているかどうかになります。
会社によっては虚礼廃止として、年賀状を禁止しているところもあります。
自分の会社ではどうなのか事前に確認しておきましょう。
また、上司や先輩などの目上の人に年賀状を送る場合は、元旦に届けるのがマナーになります。
遅れることがないように、早めに準備しておきましょう。定型文の例は以下の通りです。
謹賀新年
旧年中は大変お世話になりありがとうございました
今年は昨年の経験をいかしてチームの力になれるよう そしてご期待に応えられるよう精進してまいる所存です
本年も変わらぬご指導ご鞭撻をお願いすると共に ご家族の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
本年も宜しくお願いいたします
年賀状の定型文-取引先に送る場合-
自社の印象に直結し、粗相があれば自社に不利益を生じさせる可能性のある取引先への年賀状は、細心の注意を払う必要があります。
宛名の肩書きや部署名などに間違いがないか確認し、個人名であれば“様”、部署名であれば“御中”を使うようにしましょう。
尚、役職を書く場合は名前の上に小さめに書いてください。
謹んで新春のお慶びを申し上げます
旧年中は一方ならぬ御高配にあずかり誠にありがとうございました
貴社益々のご発展をお祈りいたしますと共に
本年も変わらぬご愛顧の程よろしくお願い申し上げます
年賀状の定型文-結婚のお知らせ-
旧年中に結婚した場合、結婚報告を兼ねた年賀状を出すこともあるでしょう。
一般的には結婚後1~2ヶ月以内に結婚報告のはがきを出す必要がありますが、10月以降の結婚であれば年賀状と兼ねても問題ありません。
また、10月よりも前に結婚していても年賀状で報告、ということが近年は増加しているようです。
新居に引っ越しているのであれば、郵便局に転居届を出しておくことを忘れないようにしましょう。
結婚報告を兼ねた年賀状の定型文の例は以下の通りです。
あけましておめでとうございます
ご報告が遅れましたが 昨年○月○日 私たちは結婚いたしました
二人で力を合わせ 笑顔溢れる明るい家庭を築いてまいります
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます
年賀状の定型文-出産のお知らせ-
結婚報告と同様に、旧年中に出産をした場合も年賀状で併せて報告するケースが増えています。
その際の注意点は、以下の2つ。
●赤ちゃんの誕生日と名前を記載する
●相手の気持ちを慮る
親しい友人や親族に出産報告を兼ねた年賀状を送ると大変喜ばれます。
中には遠方に住んでいるため会えず、生まれた赤ちゃんの顔を見ていないという方には、ぜひ写真付きの年賀状で送ると良いでしょう。
ただ、出産は女性にとってデリケートな話題でもあるので、相手によってデザインを使い分けるなどの配慮も大切です。
定型文の例は以下の通りです。
明けましておめでとうございます
昨年中は大変お世話になりました
昨年○月○日に元気な女の子が誕生しました
本年からは親子共々宜しくお願いいたします
マナーを守って気持ちを込めた年賀状を送ろう
日ごろの感謝と今後もお願いしますという気持ちを込めた年賀状は、送る方も送られた方も良い気分になります。
しかし、マナーが守られていないと新年早々嫌な気持ちにさせてしまうかもしれません。
マナーを守り、気持ち良い年賀状のやり取りをしましょう。
細かいマナーやルールなどがある年賀状ですが、新年をお祝いする日本独自の文化。
正しい知識を知り、実践することで大事にしていきましょう。
※この記事の内容は、2019年10月現在のものです。
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