メールやSNSが普及した現在でも大切な人に送りたい年賀状。日本の伝統文化としてのイメージが強い年賀状ですが、海外では日本のように新年に手紙を送る習慣はあるのでしょうか?
そこで海外の人へ年賀状を送る方法から絶対にやってはいけないマナーや豆知識を紹介します。
【1】年賀状の文化は日本だけ?年賀状に対する海外の反応
年賀状は日本独自の文化のため、日本のように元日に年賀状を交換する文化は海外ではありません。
アメリカのようなキリスト教圏では、クリスマスが日本の正月にあたり、年賀状の代わりにクリスマスカードを交換する文化があります。
そのため、クリスマスカードには
「Merry Christmas & Happy New Year」
と新年のお祝いと一緒に祝う傾向があるようです。
日本人が年賀状の代わりにクリスマスカードを出すときに絶対に注意しなければならないことがあります。それは相手がキリスト教徒ではない人へクリスマスカードを送ってはいけません。クリスマスはキリストの誕生日を祝うものだからです。
豆知識として、ギリシア語では「Christmas」を「Xmas」と記載することもありますが、「X'mas」とアポストロフィを付けるのは間違いですので注意してください。
中国や台湾、韓国では日本の年賀状のような習慣がありますが、日本と違い旧正月(2月上旬)を祝う文化が根付いています。ですので年賀状は旧正月である2月上旬の時期に送るのが一般的です。
ただし、日本と違い元旦に届けなければいけないというものではないため、旧正月の時期であればいつ届いても構いません。
日本のように元旦に合わせて届ける年賀状は世界でも珍しく、海外の人からすると日本独自の文化があらわれている行事のひとつとして、とても好意的に捉えられているようです。
【2】年賀状は海外へ送ることができるの?切手はいくら必要?
日本独自の文化である年賀状ですが、海外にいる人へ送ることもできます。
海外赴任中のかたや語学留学中の同級生、結婚して移住した友人などへ年賀状を送ってあげると、日本で受け取るとき以上に喜んでくれるのではないでしょうか。
海外に送るには、18円分の切手をプラスして貼ることで世界中に届けることができます。海外に送付するからといって、特別なはがきを買う必要はありません。日本で使用している年賀はがきをそのまま使えますし、18円切手は最寄りの郵便局やコンビニエンスストアで購入することができます。(コンビニエンスストアによっては18円切手をお取り扱いしていないところもありますので、レジにてご確認ください。)
もちろん、私製はがきや絵はがきでも70円分の切手を貼れば、航空便にて送ることが可能です。
また、現在ではお年玉くじ付き年賀はがきが、禁制品にあたるなどといった理由で没収や返送されることはなくなりました。なので、年賀はがきにあるお年玉くじの部分を消したりする必要はありませんのでご安心ください。
年賀状を封筒に入れて投函する場合(定形、重さ25gまで)、90〜130円分の切手を貼る必要があります。送り先の地域によって料金は変わってきますので、下記を参考にしてください。
- 第1地帯: 90円:アジア・米国の海外領土・パラオ他
- 第2地帯:110円:オセアニア・中近東・北米・中米・西インド諸島・ヨーロッパ
- 第3地帯:130円:南米・アフリカ
詳しくは日本郵便の国際郵便「海外の料金表」にてご確認ください。
http://www.post.japanpost.jp/int/charge/list/index.html
【3】年賀状を海外へ送る際の宛名の書き方
それでは次に、海外に送る際の宛名の書き方について紹介します。
国際郵便を送る際の共通ルールとして、はがきは横向きで宛名・宛先・住所などの項目は横書きで書くようにしましょう。
記載場所として、差出人の住所氏名は上辺に、受取人の住所氏名は下辺にそって記載します。
住所は英語やフランス語、中国語など送り先の国に合わせた言語で記載するようにしましょう。
住所の書き方は、日本とは逆の順序になりますので注意してください。
<宛先・差出人の住所氏名の順番>
- 氏名
- ビル/マンション名・番地・町名
- 市郡区名
- 都道府県名.郵便番号
- 国名
例)
- 1. Mr.Jordan Miller
- 2. RA101.123Eighth Avenue
- 3. New York
- 4. NY.10018
- 5. U.S.A
送り先の名前の前に「To」を入れ、差出人の前には「From」を入れることも忘れないようにしましょう。
また、宛名面の空いている部分で結構ですので「AIR MAIL」と「POST CARD」を分かりやすく大きく記載してください。
【4】日本から海外へ、年賀状が届くまでの日数
日本から海外へ年賀状を送る際、元旦に届くように送りたい方も多いかと思いますが、海外では日本と違って元旦に届けるという習慣がありません。ですので、元旦に届くようにしたい場合は下記の郵便局のホームページより投函する地域とお届け先の場所の指定を行い、配達日数の目安を確認し逆算して送るようにしましょう。
日本郵便:国際郵便:お届け日数表(通常郵便物:航空便)
http://www.post.japanpost.jp/int/deli_days/normal/
東京から年賀状を航空便で送る場合、主要都市の配達日数は以下の通りになります。
<東京から主要都市>
- お届け先:配達日数:投函目安日
- 上海:7日:12月25日
- 韓国:7日:12月25日
- シンガポール:3日:12月29日
- オーストラリア:7日:12月25日
- ニューヨーク:7日:12月25日
- ロサンジェルス:6日:12月26日
- イギリス:4日:12月28日
- イタリア:6日:12月26日
- ドイツ:5日:12月27日
- フランス7日:12月25日
- ロシア:9日:12月23日
※時差や配達員の受取時間などにより前後する場合がございます。
また、届け先の情勢によって一部の国では、航空便でお届けができない国・地域があります。
イエメンやウクライナ(クリミアおよびセバストポリに限る)、ソマリアやリビアなどは航空便でお送りすることができません。
航空便以外にも、SAL便や船便、EMSでも国によってはお届けすることができない国があります。
詳しくは日本郵便のホームページよりご確認ください。
日本郵便:国際郵便:お届けできない国・地域一覧
http://www.post.japanpost.jp/int/information/no_delivery.html
【5】海外から日本へ年賀状を送る際に知っておきたい豆知識
日本から海外への年賀状の送り方は先ほどご紹介しましたが、逆に海外から日本へ年賀状を送るにはどうしたらいいでしょうか。
日本では年賀状は年賀特別郵便の特殊取扱として12月15日から12月25日までに投函すれば、元日に受け取ることができます。しかし、国際郵便は特殊取扱にはなりませんので、海外から日本に年賀状を送っても元旦に届くようにする方法はありません。
ですが、日本の郵便配達局にて年賀状だと認識できた場合は、年賀特別郵便として扱ってもらえることがあるようです。年賀特別郵便として扱ってもらえるようにするには国際郵便で年賀状を出すときに、郵便物の宛先などを記載している面に朱書で「年賀」と記載する必要があります。
そのうえで、12月25日までのあいだに日本に届くように投函をします。ただし、これは特殊な例でありこの通りに行ったからといって必ずしも元旦に届くとは限りません。
年賀状だと認識されなければ、送った日から最短日数で配達されます。そのことからあらかじめ最短日数を計算して、通常の航空便として投函する方法もあります。
また、自分で年賀状を出さずに業者に任せる方法もあります。
いまでは海外にいてもインターネットを通して、日本の業者に年賀状の依頼をすることで、カスタマイズした年賀状を送ることができます。業者に依頼することになるので、手書きで送ることはできないですが、完成度の高い年賀状を手軽に作成でき、元旦に届けることができます。
そういった業者では発送代行料が年賀はがき代に上乗せされますが、海外から送る切手代を考えるとそちらの方が安くなる場合もあります。
送り主の希望に合わせて自分で送るか、業者に頼むか選ぶといいでしょう。
【6】年賀状を海外に送るときに使える文例
海外の人に、特に外国人に年賀状を送りたいとき注意しなければいけないのは、受取人の宗教などへの配慮が必要となります。
そこで誰にでも使える、よく使われる定番のフレーズから相手やシチュエーションに応じた文例を英文で紹介します。
新年の挨拶ですので、難しい単語は使う必要はありません。気持ちを込めた気持ちいい挨拶をしましょう。
1. 定番のフレーズ
- ● Happy New Year 2017!(2017年、新年おめでとう!)
- ● I wish you a Happy New Year.(あけましておめでとうございます。)
- ● Have a great New Year!(素晴らしい新年を!)
- ● I hope the New Year finds you in excellent spirit!(新しい年があなたにとって特別なものとなりますように!)
- ● May this year be happy.(今年が幸せな年でありますように。)
2. シチュエーション別のフレーズ
- ● Best wishes from everyone in my family.(家族そろってお祝いの言葉を申し上げます。)
- ● I'm very grateful to you for the kindness you showed us last year.(旧年中はいろいろとお世話になりありがとうございました。)
- ● Here's to the New Year ! Cheers !(新年を祝って 乾杯!)
- ● Best wishes for a successful and rewarding year.(成功に満ち、報われた年になりますように。)
- ● You made my year of 2016 very meaningful and enjoyable.(あなたのおかげで2016年はとても充実した1年を送れました。)
まとめ
以前は規制のあったお年玉くじ付き年賀はがきも、いまでは没収されることや返送されることなく多くの国へ送ることができます。海外にいる日本人のかたは年賀状を受け取ることで懐かしさや嬉しさも増すでしょうし、外国人のかたにも日本独自の文化として温かく受け取ってもらえるでしょう。
お世話になった人への挨拶として、日本文化のである年賀状を今年は海外のあの人へ送ってみてはいかがでしょうか。